TOP PAGE 210万人死亡イメージ 木村盛世等
新型インフルエンザで重症者や死者が多い理由を図解する
番外編 新型フル患者分布地図 国立感染症研究







1918年の新型インフルエンザウイルス罹患患者の収容の様子…こんなことにはならないのでご安心ください

厚生労働省:新型インフルエンザ対策関連情報
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-)

季節性インフルエンザQ&A(厚生労働省)緊急改訂 

 厚生労働省は、季節性インフルエンザQ&Aをホームページで公開していますが、タミフル耐性についての問い合わせが殺到しているらしく、緊急に改訂が行われました。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/07qa.html

(一部改訂)
Q.18 : インフルエンザにかかったらどうすればよいのですか?
Q.19 : インフルエンザの治療薬にはどのようなものがありますか?
Q.20 : 薬剤耐性のインフルエンザウイルスとは何ですか。
Q.21 : 薬剤耐性のインフルエンザウイルスと普通他のインフルエンザウイルスは何が違いますか。
Q.22 : 我が国における薬剤耐性のインフルエンザウイルスの発生状況はどうなっていますか?
Q.23 : インフルエンザにかかったときに、薬剤耐性のインフルエンザウイルスによるものかをどのように判断したらよいですか。
Q.24 : 感染症発生動向調査で確認されたオセルタミビル(タミフル)耐性のインフルエンザウイルス(A/H1N1)とはどのようなものですか?
Q.25 : オセルタミビル(タミフル)耐性のインフルエンザウイルス(A/H1N1)に効果のある薬はありますか?
Q.26 : 薬剤耐性のインフルエンザウイルスについて、新型インフルエンザウイルスに影響はありませんか。

(新規)
Q.27 : オセルタミビル(タミフル)耐性のインフルエンザウイルスはどのように予防すればよいですか。
Q.28 : 迅速診断キットでインフルエンザA型に感染しているとわかった場合、どのような治療が行われるのですか。

 そもそも、タミフルを使用することはインフルエンザ(新型含む)の根本的治療ではありませんが、H5N1インフルエンザの治療において、症例は少ないものの、早期にタミフルを使用した場合は、生存率が高いという論文があります。

 タミフル耐性はという言葉も独り歩きしています。一般の方は「タミフル耐性=タミフルが全く無効で、ある」と考えるでしょうが、いわゆる「タミフル耐性ウイルス」が検出された患者にタミフルを投与して、高熱がすぐに下がったという風に臨床医は今シーズンも実感しており、タミフル耐性ウイルスが多いという事実と臨床的な治療効果の違いに戸惑っています。

 あるアミノ酸配列の変異という事実と、臨床効果に変化がないという事実、冷静に対処して、新型インフルエンザ対策の抗インフルエンザウイルス薬の備蓄を進めていきましょう。  

スポンサーサイト
[ 2009/01/31 00:00 ] 厚生労働省 | TB(1) | CM(0)

鶴川サナトリウム病院でのインフルエンザ集団感染についての考察6 

 鶴川サナトリウム病院での季節性インフルエンザ集団感染について、専門家、各種ブログで様々な議論が繰り広げられました。

 今日もサーベイランスについて記します。

    今回、株が何であるのかはいまだ公表されていません。しかし、マスコミで公表された事例に対して、いちいち株が何であるのかを調べることに、科学的根拠はありません。

その理由です。
1.日本全国で定点医療機関から搬入されたインフルエンザウイルスの解析が日頃から行われており、集団感染が起こったからといって、慌ててウイルス株を調べることに疫学的根拠がない。
2.仮に、株がブリスベン株だと判明したとしても、病院、社会福祉施設、一般国民がなすべき対策に変わりはない。

 そもそも、マスコミが把握しているインフルエンザ集団感染は氷山の一角に過ぎず、そこで流行しているインフルエンザウイルス株も氷山の一角に過ぎないのです。バイアスがあまりにも大きくかかっており、そこから出る結果は全て色眼鏡を通したものとなってしまいます。  新型インフルエンザ対策でも同じことが言えます。ウイルス株がH5ならばこうするけど、H7だからこうする、H9なら、ああするとか、なにかウイルス株の違いにより、対策が変わるのでしょうか? 私は変わらないと思います。臨床症状の違い、感染様式の違いによっては対策は変わります。

 私は、保健所に勤務している(していた)人が、保健所で行っているサーベイランスの意味を理解していないという事実を淋しく感じています。おそらく、NESIDへの入力などしたことがないのかもしれません。何故毎週、定点医療機関から報告を受け、NESIDへその報告数を入力しているのかを理解していれば、こんなことにはならないはずです。サーベイランスは、情報を収集することに意味があるのではなく、収集、分析、そして対策を考えて総合的に意味があるのです。何か事件が発生して、慌てて何かをするのは、冷静な対応ではありません。

 1週間、新型インフルエンザ対策とは直接関係ない話をしましたが、少なくともこの程度のことは知っておかないと新型インフルエンザ対策は恥ずかしくてできないと思い、私の考えを書かせていただきました。明日からまた新型インフルエンザ対策の記事を書きたいと思います。

[ 2009/01/30 00:00 ] 季節性インフルエンザ | TB(0) | CM(0)

鶴川サナトリウム病院でのインフルエンザ集団感染についての考察5 

 鶴川サナトリウム病院での季節性インフルエンザ集団感染について、専門家、各種ブログで様々な議論が繰り広げられました。

 今日はサーベイランスについて記します。

 まず、極端な話をします。

 もし、鶴川サナトリウム病院では、毎年この時期に100人規模のインフルエンザ患者が発生しているのであれば、今年の発生は特記すべき出来事ではないといえます。「例年と同様のことが起こっている」だけです(それはそれで大問題ですが)

 3人の方が亡くなっているということですが、これについても毎年この病院では何人の方が亡くなっているのかというベースラインについてまず把握する必要があります。3人というのは実は例年に比べて少ないということだってあり得ます。

 季節性インフルエンザは毎年発生し、毎年死者が発生しています。したがって、病院から「○○人の感染者、発病者がいて、●人の死亡者がいます」と報告を受けた時に、その地域のインフルエンザ流行状況、死亡統計を調べましょう。

 サーベイランスはそういう時のために毎日、毎週、毎月行っているということを知っている保健所職員は実はほとんどいないのかもしれません。このブログを読んでいる人はサーベイランスの目的を再確認してください。

[ 2009/01/29 00:00 ] 季節性インフルエンザ | TB(0) | CM(2)

鶴川サナトリウム病院でのインフルエンザ集団感染についての考察4 

 鶴川サナトリウム病院での季節性インフルエンザ集団感染について、この1週間マスコミ、専門家、各種ブログで様々な議論が繰り広げられました。

 今日は予防内服の可否について記します。
 けいゆう病院の菅谷憲夫医学博士は「ワクチンが打ってあっても、そういう施設内なんかでは、非常にうつりやすいので。やっぱり、非常に密閉された空間」と述べた。

 病院などの閉鎖された施設で感染者が確認された場合、どのような対策を取るべきかについて、菅谷医学博士は「タミフルとリレンザを、まだ発病していない人たちにも、予防的に飲んでもらうんですね。それをやることによって、爆発的に広がっていくのを防げると思いますね」と述べた。
(2009年1月18日 FNNニュースより引用 )
 タミフル、リレンザの予防内服の問題は以下のとおりです。
1.ウイルスの株が特定されない状態で予防内服を始めることにはリスクがある
2.7日から10日間、毎日欠かさず服薬する必要がある。
3.しかも、新たな感染の恐れのある場合は、その日からまた7日から10日間飲み続けなくてはいけない。
4.保険適応ではないため、患者または病院が費用を負担する必要があるが、院内感染の場合、患者に負担を求めることは困難なため、病院の費用負担は膨大である。
5.対象者は添付文章やCDCガイドラインに記載のあるハイリスク者に限るべきであるが、今のご時世、周囲からのプレッシャーに屈服し、一律の予防内服というとんでもないことが行われ始めている。
 タフフル、リレンザには、患者の発熱期間を短縮し、重症化を予防する効果は認められますが、決してインフルエンザの感染性を弱くする効果があるわけではないので、あまりこだわる必要はないと思います。
 特に、上の「2.3」の理由から、インフルエンザの流行シーズンには予防内服を始めたら10日も20日も30日もずっと予防内服をする必要があるかもしれません。

 ということで、予防内服の適応は慎重にすることをお勧めします(最終判断は患者を診察した医師が行うものです)。 

[ 2009/01/28 00:00 ] 季節性インフルエンザ | TB(0) | CM(0)

鶴川サナトリウム病院でのインフルエンザ集団感染についての考察3 

 鶴川サナトリウム病院での季節性インフルエンザ集団感染について、昨日、

 感染経路および、感染が拡大した原因の推定はできますが、断定は絶対できません(永遠に)。

 と書きました。

 では、保健所への病院からの報告がとても速く、保健所がすぐに患者の検体を遺伝子解析していたら、断定に至るのでしょうか?

 答えはNo
 断定に至りません。

 なぜでしょうか。

 保健所が仮に早期に患者の検体を遺伝子解析していたとしても、現在日本国内で流行している株は
A/H1N1
A/H3N2
B
の3種類に過ぎません。
これらの株は、理論的には無数の株(例:ブリスベンH3N2株や、ウルグアイH3N2株)にさらに細分化されますが、日本のしかも東京という非常に狭い地域の中で、H3N2株のうち、複数の株が流行するということは経験上考えられません。

 よって、仮に、保健所が仮に早期に患者の検体を遺伝子解析し、早期にたとえば「ブリスベンH3N2株」でしたということが判明したとしても、その株を誰がどのように病院に持ち込んだのかを知ることは不可能なのです。

 患者の検体を遺伝子解析し、A/H1N1、A/H3N2、Bが混在していたら、ますます院内感染というより、病院に出入りする人のマナーの悪さ、すなわち咳エチケットが全く徹底されていなかったという一人ひとりの対策の不備ということが判明するだけです。

 日本中にほとんど見られないような疾患であれば、感染原因を特定できる可能性もありますが、季節性インフルエンザは、まさに今、流行中で、誰もが町田の病院のインフルエンザウイルス株と同じ株に罹患しています。そんな状況で感染原因を特定することができるのでしょうか。私はできないと思います(推測はできます)。 

[ 2009/01/27 00:00 ] 季節性インフルエンザ | TB(0) | CM(0)

鶴川サナトリウム病院でのインフルエンザ集団感染についての考察2 

 鶴川サナトリウム病院での季節性インフルエンザ集団感染について、この1週間マスコミ、専門家、各種ブログで様々な議論が繰り広げられました。

 季節性インフルエンザについて再確認です。
 季節性インフルエンザは五類感染症(定点報告疾患)に分類されており、定点医療機関の管理者が週に1回(月曜日)、10代、20代などの年齢別、男女別に医療機関を受診した数だけ報告するのみ。
 したがって、日本中のほとんどの医療機関は、季節性インフルエンザの患者数を保健所に報告する必要はない。
 もちろん、鶴川サナトリウム病院も、定点医療機関ではないため、患者数が何人いようが、死亡者が何人いようが、保健所に報告する必要はない。
 以上のことは、感染症法に基づく理論なので、医療法上は、院内感染が発生した場合は医療安全管理の立場から、保健所は指導することになります。

 さて、マスコミがこのような集団感染の情報を入手すると、すぐに、犯人探しになります。すなわち、以下のような質問です。
「感染経路はなんなのか?」
「感染が拡大した原因は分かっているのか?」


 今回、感染経路、感染が拡大し原因について、職員が持ち込んだとか、見舞客が持ち込んだとか、湿度が低かったとか、いろいろ書かれていますが、ハッキリ言います。

 感染経路および、感染が拡大した原因の推定はできますが、断定は絶対できません(永遠に)。

 物事には、自然現象として解明できることと、解明できないことがあります。感染経路および感染が拡大した原因を推測するためには、コホート研究や症例対照研究が必要です。

 このような感染症の集団発生が起こると、発病者(感染者)の行動ばかりに注目が集まりますが、非発病者(非感染者)の行動も同じように注目し、非発病者は、なぜ発病しなかったのか、という考察も必要となります。したがって、例えば鶴川サナトリウム病院の事例の場合、非発病者を含め、1000人規模の調査を行い、初めて感染原因が推測できるのです。

 現在マスコミで報道されている感染経路や感染原因は、99%思いつきの領域を超えていません。1週間で1000人規模の調査を行うのは時間的に絶対に不可能です。

 1000人規模の調査を行っても、そこで初めて「理論に基づく感染経路・感染原因の推定」ができるのであり、「断定」はできません。

 これは、新型インフルエンザが発生しても同様です。このような集団感染が発生した際に、マスコミはインフルエンザの臨床医に問い合わせることはあっても、疫学の専門家に問い合わせるという発想が出ないので、「感染経路・感染原因はすぐに推定できる」と考えてしまうのでしょう。

[ 2009/01/26 00:00 ] 季節性インフルエンザ | TB(0) | CM(1)

鶴川サナトリウム病院でのインフルエンザ集団感染についての考察1 

 鶴川サナトリウム病院での季節性インフルエンザ集団感染について、この1週間マスコミ、専門家、各種ブログで様々な議論が繰り広げられました。

  「インフルエンザの院内感染では、国内最大規模」といわれる東京都町田市の鶴川サナトリウム病院(日野研一郎院長)の集団感染。東京都は2009年1月19日、感染者が新たに6人増え、死亡した女性患者3人を含む計112人に拡大したと明らかにした。約9割の入院患者が予防接種を受けていたにもかかわらず、なぜ拡大したのか。都は同日、再度病院を立ち入り検査。その結果、「病院職員から感染が拡大した可能性は否定できない」としたほか、出入り業者や外来患者ら外部も含めた複数ルートが考えられる可能性を指摘。病院側の感染拡大防止に不備があったとの見方も示した。

 ■湿度が一因か

 同病院では今月3日に女性看護師の感染が確認され、6日以降、11病棟のうち7病棟の患者らに広がった。死亡したのは、認知症の100歳と85歳、脳梗塞(こうそく)の後遺症などがある77歳。9日に発熱し、タミフルや抗生剤の投与を受けたが、認知症の2人が11日に、77歳が16日に死亡した。

 18日には71~89歳の入院患者5人の感染を確認。19日にも職員2人と、83~87歳の入院患者4人の感染が判明、拡大が続いてる。

 当初、院内の湿度計が15%で、感染予防に必要とされる50~60%を下回っていたとされたが、都は19日夜の会見で湿度計に支障があった可能性に言及。同日の検査で湿度は、39~60%だったとし、実際の湿度は15%より高かったみられるという。それでも、最近の乾燥した天候で湿度が不足気味になり、拡大の一因となった可能性はあるという。

 ■潜伏期間に

 今回は複数の病棟で感染が広がった。都幹部は「病棟間を自由に移動して患者と接する医師や放射線技師、その他の職員が感染者を増やした可能性がある」と指摘する。感染患者の大半は閉鎖病棟に入院し、寝たきりや車椅子の患者が発症していた。このため、インフルエンザの潜伏期間中(1日~1週間)の病院職員が患者に接して拡大につながったとみている。

 患者の中には、徘徊(はいかい)など施設内を歩き回りマスクを外す人もいる。さらに、給食など外部業者や面会者からの感染の可能性など、外部からウイルスが持ち込まれた疑いがあり、「複合的な感染ルートが考えられる」(都幹部)としている。

 ■対策に不備

 最初の感染者が確認されたのは今月3日。しかし、病院が保健所に報告したのは7日で、保健所が病院に立ち入り検査をしたのは最初の感染者が判明してから10日後。そのときは、すでに68人の感染者が確認された後だった。

 保健所は7日、病院に(1)全職員のマスク装着(2)手洗いの徹底-などを指示。しかし、13日に立ち入った際、マスク装着などは徹底されていなかったという。

 都によると、病院側は保健所が立ち入った13日以降、18日までに家族の面会自粛やリハビリの中止、巡回の強化、ベット柵や階段の手すりの清掃を実施。19日になって初めて、感染者が病棟の入院患者の10%以上占めた病棟の全患者にインフルエンザ治療薬の塩酸アマンタジンの予防投与を開始するなど、対応遅れは否めないという。こうした状況に、都福祉保健局の桜山豊夫技監は「病院の予防が徹底されていれば、感染拡大を防げたかもしれない」と悔やむ。

 インフルエンザに詳しいけいゆう病院の菅谷憲夫小児科部長は「最初の感染者が判明した時点で、未感染患者らにタミフルやリレンザを予防投与していれば、こんなに感染者が増えることはなかった」。その上で「厚労省のマニュアルの項目に予防投与が明記されていれば、病院も対応しやすかったはず」と行政側の問題点も指摘している。
(2009年1月20日 yahoo!ニュースより引用・一部改編)

 新型インフルエンザ対策を行う上で、「封じ込め対策」がいかに不可能かを全国に知らしめるよい教訓となる事例と言えるのではないでしょうか。ただ、マスコミなどの論調にいくつか疑問点もありますので、今週は集中的にこの集団感染事例について考えていきたいと思います。

[ 2009/01/25 00:00 ] 季節性インフルエンザ | TB(0) | CM(0)

インフルエンザ注意報から学ぶ新型インフルエンザ対策の大切さ 

群馬県全域にインフルエンザ注意報(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/gunma/090115/gnm0901150205001-n1.htm

県、インフルエンザ注意報を発令/長野(中日新聞)
http://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20090115/CK2009011502000006.html?ref=rank

県がインフルエンザ注意報発令 昨年より8日早く/鹿児島(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kagoshima/news/20090115-OYT8T00130.htm

 このように、先週は日本各地で注意報が発令され、日本中まさに「インフルエンザ感染列島」の様相を呈しています。感染列島の映画もとうとう公開されましたが、怖くて見に行くことができません。

 さて、季節性インフルエンザ以上に感染拡大するのが新型インフルエンザの宿命ですが、そう考えると、今年もこれだけ新型インフルエンザと叫ばれていて、マスクの売り上げも史上最高を記録しているにもかかわらず、結果はこの有様です。

 東京都町田市の鶴川サナトリウム病院でインフルエンザの集団感染が発生し、マスコミ、専門家がこぞって批判的な理論を展開していましたが、この病院での出来事については考察することがいくつかありますので、後日記述したいと考えています。

 これは、行政や医療の怠慢の結果ではありません。やはり、国民一人ひとりが手洗いの徹底、咳エチケットの徹底、インフルエンザにかかっているときの外出自粛を行わない限りは、季節性インフルエンザでさえも感染拡大するのだということを改めて確認できます。

 行政や医療は、発病してしまった患者を適切に医療に結びつけ、極端にいえば
「インフルエンザによって死亡しない」
ようにすることはできますが、
「インフルエンザの感染拡大を抑える」
ことはできないのです。

 新型インフルエンザ対策という敵と戦う前に、今目の前にある「季節性インフルエンザ」対策を、このブログを見ている人は周りに薦めてください。咳をしている人にはマスクをするように進言してください。外出後や食事の前には必ず徹底的に手を洗うように薦めてください。そういう細かな積み重ねがとても有効なのです。

[ 2009/01/24 00:00 ] その他 | TB(0) | CM(1)

インフルエンザウイルス研究センター(仮称)職員大募集中 

インフルエンザウイルス研究センター(仮称)職員大募集中です。

http://www.nih.go.jp/niid/boshu/sub186.htm
http://www.nih.go.jp/niid/boshu/index.html

 新型インフルエンザの存在を岡田晴恵氏と共に広めた国立感染症研究所ウイルス第三部長田代眞人先生は、平成21年3月に任期満了に伴い退任予定ですが、大きな置き土産ができたという実績があります。 インフルエンザウイルス関連の研究開発は世界に比べて圧倒的に遅れていますから、これを機会に飛躍することを期待しています。

 それにしても、これだけ大規模な公募となると、ある程度応募する人のめどが付いているというわけではなく、ある程度ガチンコでの公募なのかもしれません。

 応募締切日は平成21年2月13日(金)、13日の金曜日となっております。

[ 2009/01/23 00:00 ] 厚生労働省 | TB(0) | CM(0)

熊本県八代保健所企画の新型インフルエンザ対策総合訓練と小児への対応 

  新型インフルエンザの流行を想定した県内初の総合訓練が2009年1月15日、八代地域であった。八代保健所(八代市)が企画し、八代市など自治体や病院、警察署、学校など23社・団体から総勢約150人が参加。懸念される世界的な大流行(パンデミック)では県内で46万人が感染し、1万人弱が死亡すると推計されている中で、訓練では医師不足も浮き彫りになった。

 訓練は、海外での新型インフルエンザ発生から八代地域での大流行まで8つの場面を想定。八代保健所を中心に電話やファクスによる連絡や防護服を使った患者搬送、学校閉鎖、非常時に設置される診療施設での患者対応などについて訓練した。

 非常時の施設指定が想定される八代市井上町の太田郷公民館では、患者にふんした住民たちを、地元の医師や看護師らが対応。真っ白な防護服姿の医師らが患者と一定の距離を保ちながら問診や診察を行うと、会場は緊迫した空気に包まれた。

 一連の訓練には同保健所職員が立ち合い、公民館では「防護服のすき間や、飛沫(ひまつ)感染防止用ゴーグルの曇りが気になる」などと細かくチェック。患者役を務めた同市大手町の主婦福田美智子さん(56)は「新型の怖さを初めて実感した」と話した。

 パンデミック時は医師も6割が感染する可能性をあると言われており、同保健所は「パンデミックを回避するのが訓練の目的だが、実際に流行すれば医師不足はネック。小児科医が少ない八代地域では乳幼児への対応が課題になる」と総括した。
(2009/01/16付 西日本新聞朝刊より引用・一部改編)
 この訓練と、直接関係あるのかどうかは不明ですが、小児に対する対応は様々な点で問題が解決されていません。思いつくだけでも、
・感染症指定医療機関に小児を入院させる想定はほとんどされていない。
・小児に用いるタミフルドライシロップは国家備蓄、行政備蓄されていない。
・小児科はもともと(特に冬季は)受診者に対する発熱患者の割合が高いので、「発熱外来」がそもそもトリアージになってない。

などが挙げられます。

他にも問題があったら、コメントお願いします。

[ 2009/01/22 00:00 ] 訓練フェーズ5B・6B | TB(0) | CM(0)

チンパンジーへの感染経路、感染源は? 

ネギはチンパンジーにも効く 風邪予防に福岡の動物園

 福岡市動物園(同市中央区)のチンパンジーは、今冬から風邪予防に毎朝ネギを食べている。4匹のうち3匹はすっかり大好物に。1.5キロをあっという間に平らげるようになった。

 これまで毎年冬になると、鼻水を垂らすなど風邪の症状に悩まされ、子ども用の風邪薬を使っていた。困った飼育員が多摩動物公園(東京都日野市)での取り組みを知り、与え始めた。

 多摩動物公園では04年冬からチンパンジーに長ネギを与えている。「ネギを食べると風邪をひかない」という人間の伝承療法を参考にしたのがきっかけで、サルの風邪引きはめっきり減ったという。今はハチミツ漬けのキンカンも与えている。

 人間と同様、アリシンという成分が効くとみられ、福岡のチンパンジーたちも今のところ元気いっぱい。いつもはオスがたくさん取って食べるが、発情すると、メスの気を引こうと譲る場面もあるという。
(2009年1月8日 asahi.com より引用)

 私がこの記事で気になったのは、 「動物園のチンパンジーは何からウイルス感染し、風邪をひくのだろう」 という点です。

 常識的に考えると、「人」から「空気感染」で感染するのでしょうが、もしそうだとすれば、さすがに屋外で空気感染をしてしまうことは考えにくいので、チンパンジーが屋内にいる際には動物園の飼育員が咳エチケット」を守ることにより、ネギの効果以上に風邪予防が期待できるのではないかと思います。

 さらに、チンパンジーやサルにもインフルエンザウイルスはヒト同様に感染するのかも気になりました。実験的には感染するようですが、ウイルスの軌道粘膜に対する親和性などは当然違うと推定されます。

 ヒトは、
霊長目 真猿亜目 狭鼻下目 ヒト上科 ヒト科 に属するのに対し、
 チンパンジーは、
霊長目 真猿亜目 狭鼻下目 ヒト上科 オラウータン科に属するようです。

 ヒト以外の霊長類へのインフルエンザ感染について詳しい方は是非教えてください。  

[ 2009/01/21 00:00 ] その他 | TB(0) | CM(0)

日経メディカル オンライン パンデミック・アラートメール開始 

 日経メディカル オンラインでは、様々な医学関係の記事を特集し、配信しています。

 一部、医師専用のホームページがあり、パスワードの発行に郵送での本人確認を要するなど、やや厳格なチェックもありますが、一般向けとしては他の追随を許さない豊富な医療関係サイトになっております。

 そんな日経メディカル オンラインで、2009年1月23日から、「パンデミック・アラートメール」が配信されるようです。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/pandemic/cooperation/200901/509138.html

 日経メディカル オンラインでは、新型インフルエンザの今に着目、対策面を中心に、最新情報を発信するテーマサイト「パンデミックに挑む」を運営しています。今月23日から、「パンデミック・アラートメール」を配信します。

 「パンデミック・アラートメール」は、「パンデミックに挑む」の記事タイトルやコラムのサマリーを電子メールで配信するものです。また、皆様からの情報も掲載し、情報共有の場にしていきたいと思っています。どなたでも無料でご利用いただけます。
 忙しい業務の合間に、トピックスを得ることができるメーリングリストは重宝します。無料ですので、気軽に申し込めるのではないでしょうか。ただ、ホームページの方は2008年6月に「パンデミックに挑む」のコーナーを設けて以来、あまり独自記事が少ないのが気になります。

[ 2009/01/20 00:00 ] テレビ・映画・雑誌記事 | TB(0) | CM(0)

公共工事の入札が有利になる新型インフルエンザ講演 

平成21年1月28日(水)に、鳥取県立図書館大研修室で、新型インフルエンザ研修会が行われます。
http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=96797

非常に興味深いのが、
※この研修は建設工事の入札に係る格付の加点予定研修に登録されています。
という一文です。

いろいろな研修の参加者を増やすために行政は様々な努力をしていますが、公共事業が次々と削減される今日、研修を受けると公共工事の入札が有利になる新型インフルエンザ講演は、まさに現在の世相を反映しています。

危機管理トップセミナー~新型インフルエンザ来襲にも生き残る企業づくり~

※この研修は建設工事の入札に係る格付の加点予定研修に登録されています。 
 新型インフルエンザは、誰一人免疫を持っていないため全世界で大流行(パンデミック)が発生する、目の前にある脅威です。発生は時間の問題で、大流行時には、日本全国で約3000万人が罹患し、約64万人が死亡、各企業でも従業員の4割が欠勤すると予測されています。業務の継続は困難になり、重要な顧客を失うことにもつながります。
 準備を怠れば、企業の存続も危うくなる、危急存亡の危機です。
 事前に行動計画を作成し、周到な準備を行い、いざ発生した時には計画に従って着実に行動することが肝要です。今回のセミナーでは、新型インフルエンザに対応する事業継続計画の作成方法を学べる絶好の機会です。多く企業の皆様の参加をお待ちしております。

危機管理トップセミナー(鳥取会場)

日時

平成21年1月28日(水)午前9時~午後2時30分

場所

鳥取県立図書館大研修室

危機管理トップセミナー(米子会場)

日時

平成21年1月27日(火)午後1時~午後5時30分

場所

米子コンベンションセンター国際会議室

対象者

企業のトップ、防災部門責任者、労働安全衛生責任者等

内容

  • 新型インフルエンザとは
  • 新型インフルエンザ対応の事業継続の進め方(講義/演習)
    講師細坪信二氏(NPO法人危機管理対策機構/NPO法人事業継続推進機構理事・事務局長)

参加料等

参加料は無料です。

参加申込等

参加に当たっては、事前申し込みをお願いします。
参加を希望される方は、申込書に必要事項を記入し、メールまたはファクシミリにより、下記までお申し込みください。
鳥取県庁防災局防災チーム
電話番号 0857-26-7584
ファクシミリ 0857-26-8137
Eメール bousai@pref.tottori.jp

申込様式[Wordファイル:35KB]

展示コーナーの設置について

新型インフルエンザ関連商品の展示コーナーを設置する予定としています。
出展企業を募集しています。出店を希望される企業は、参加申込書にてご連絡ください。

その他

その他詳細については以下のファイルをご覧ください。
危機管理トップセミナー・ちらし[PDF:158KB]
 

[ 2009/01/19 00:00 ] 地域情報 | TB(0) | CM(0)

鶴川サナトリウム病院の入院患者インフルエンザ罹患率は17% 

 東京都町田市真光寺町の鶴川サナトリウム病院で、インフルエンザが集団発生し、入院患者と職員計99人が院内感染し、うち3人の患者が死亡したことが2009年1月17日、分かった。都福祉保健局によると、病院内におけるインフルエンザの集団発生としては近年では国内最大規模という。

 都によると、亡くなったのはいずれも入院患者の女性で、77歳、85歳、100歳。感染者は入院患者が75人、職員が24人。

 患者の感染者の約4割が39度以上の高熱を出した。同病院側は、タミフルなどを投与したが、熱が下がらず高齢の3人が死亡した。病院は患者の隔離などの対策を講じた。

 感染した患者75人のうち66人、職員24人のうち21人がインフルエンザのワクチンを接種していた。

 同病院の入院患者は17日現在で448人(精神科病棟264人、内科・療養病棟184人)で、平均年齢は83歳。認知症関連の患者が大多数を占める。インフルエンザが発生したのは、11病棟中7病棟だった。病院のホームページによると、開設は昭和48年。
 インフルエンザの院内感染は記者会見に臨んだ院長にまで及んでいた。患者3人が死亡した東京都町田市の鶴川サナトリウム病院。17日夜、記者会見のため2階の会議室に現れた日野研一郎院長はマスク姿で、事態の深刻さをうかがわせた。

 日野院長はもうろうとした様子で、自身もインフルエンザにかかっていることを打ち明け「心配とご迷惑をおかけし、おわびを申し上げたい」と陳謝した。

 「感染ルートは断定できていない」と慎重に言葉を選びながら「年末年始には職員や患者の外泊と、面会に来る人が多かったので要因の一つと考えている。感染者が拡大してしまった原因は分からない」と述べた。

 また、報道陣も、感染を避けるため、マスクをして記者会見に臨んだ。
(2009年1月17日 mns産経ニュースより引用・一部改編)

 この病院の入院患者の季節性インフルエンザ罹患率は
75/448≒17% でした。
しかも、
感染した患者75人のうち66人、職員24人のうち21人がインフルエンザのワクチンを接種していた。

というのがポイントです。

この病院内の感染経路は特定できるのでしょうか?スーパースプレッダーが1人いたのでしょうか?

第二のポイントは、「インフルエンザに罹患している院長が記者会見を行った」ことです。

説明責任と、感染拡大防止、揺れるところですが、この病院は説明責任を選びました。

現代の日本は、院長が欠席だと許さない風潮なのが実情ですが、感染拡大防止に理解を示し、「院長、今すぐ帰宅して休んでください、それが感染拡大防止の一歩です」と声をかけた記者がいたのでしょうか(いや、いないでしょう)。

最後に、この症例1つの感染経路が解明できないようでは、新型インフルエンザ発生時の積極的疫学調査なんて絶対にできないと思います。(私は要するにできないと思っています)  

[ 2009/01/18 00:00 ] その他 | TB(0) | CM(0)

東京都新型インフルエンザ対策イベント(平成21年1月24日・25日) 

東京都が、新型インフルエンザ対策を具体的に分かりやすく紹介するイベントを開催します。
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/kansen/sinpojiumu/singataibento/index.html

医薬品・医療機器メーカー等による製品等の展示にどのような企業がかかわるのかが興味深いところです。

「新型インフルエンザ対策」イベント(平成21年1月24日・25日開催)
備えて安心!「新型インフルエンザ」 ~対策の最新情報を紹介するイベントを開催します~

 新型インフルエンザは、鳥やその他の動物のインフルエンザウイルスが、人から人へ容易に感染できるように変異して発生すると考えられています。いったん発生すると、人類のほとんどが免疫を持っていないため、急速に感染が広がり、大きな健康被害と社会的な影響が心配されています。
 そこで、新型インフルエンザに備えるための対策について、その最新の取り組みや、予防法、発生に備えて準備すべきことなどを、具体的に分かりやすく紹介するイベントを開催します。


1 開催日時
  平成21年1月24日(土曜日)・25日(日曜日)
  午前10時から午後7時まで(25日のみ午後5時まで)


2 開催場所
  新宿駅西口広場イベントコーナー


3 入場料
  無料


4 内 容
  ○新型インフルエンザ対策の最新情報の紹介
  ○予防法や、発生に備え準備すべきことなどの具体的紹介
  ○医薬品・医療機器メーカー等による製品等の展示など

お問い合わせ

このページの担当は 健康安全部感染症対策課 です。



[ 2009/01/17 00:00 ] 地域情報 | TB(0) | CM(1)

新型インフルエンザの正しい知識は伝わっているのか 

以下のように、新型インフルエンザの正しい知識について日本各地で講演が行われています。

今、あなたに一番伝えたいこと!

第9回鳥インフルエンザ対策 生き残るヒントを公開

「守ることのできるのは自分だけ!」

信じられないかもしれませんが・・・
感染すると死亡率60%以上!


当日家族を守る”完全防御ガイドライン”
資料を無料配布いたします。

平成21年1月18日(日)

午後1時30分~4時まで

くましろホール(高森町下市田 神稲建設株式会社様隣)
TEL:0265-34-2222 

  参加費 無料

◆学習会の内容◆

第1部(30分) 新型インフルエンザの正しい知識

第2部(30分) 現在家庭でできる有効な対策方法について

第3部(30分) 聞かないと後悔するためになる情報推薦!パンデミックに備える基本的な考え方・ヒント  (公開実験あり)

※最新情報:本年1月7日の朝日新聞にて、北京でH5N1型による人型感染で既に一人死亡いたしました。

【お問い合わせ】

鳥インフルエンザに備える学習会 代表 熊谷泰司

TEL:0265-59-2176 携帯:090-7427-4288

  〒399-2222  長野県飯田市千代1448-2

スタッフブログ【南信州.com】より引用)

 この案内文だけ読んでも、「信じられないかもしれませんが・・・感染すると死亡率60%以上!」というのは鳥インフルエンザのことであり、さらに死亡率と致死率を混同しているという2つの誤りを見つけました。

 私はこの講演会で新型インフルエンザの正しい知識が得られるとは到底思えません。むしろ誤った知識が流布されることを懸念します。

関連項目
死亡率・致死率の定義を確認
 

[ 2009/01/16 00:00 ] 地域情報 | TB(0) | CM(2)

プレパンデミックワクチンについて(IASRより) 

プレパンデミックワクチンについて再確認しておきましょう
(Vol. 29 p. 187-189: 2008年7月号)
http://idsc.nih.go.jp/iasr/29/341/dj3414.html

 新型インフルエンザウイルスとは、現在ヒトの間で広く流行しているA亜型インフルエンザウイルス(A/H1N1とA/H3N2)以外の、新たにヒト―ヒト感染する能力を持ったA亜型インフルエンザウイルスのことである。A型インフルエンザウイルスの自然宿主はカモであり、1968年に出現したA香港型ウイルスは、カモから家禽、ブタを介してヒトへの感染力を身につけ、現在までヒトの間で流行を繰り返している。なお、その後も新たに変異したA香港型(A/H3N2)ウイルスは東・東南アジアで出現し、その後世界に広まっている1)。

東・東南アジアは、家禽、ブタ、ヒトの接触が密な地域であり、しかもその地域で家禽からヒトへの感染が証明されているのがA/H5N1亜型であること、歴史上A香港型ウイルスは東南アジアで出現していることなどから、A/H5N1亜型が新型インフルエンザウイルスの有力候補と考えられている。A/H5N1亜型は複数のクレードに分類されており、A/H5N1亜型が新型インフルエンザウイルスとして登場したとしても、どのクレードのA/H5N1亜型が新型インフルエンザウイルスとなるかは、予測不可能である。

効率よくヒト―ヒト感染ができる新型インフルエンザウイルスが出現すると、ヒトの間で大流行する。ヒトの間で大流行する新型インフルエンザウイルスがパンデミックウイルスである。現在はA/H5N1亜型のいずれかの株がパンデミックを起こすと予測されており、本邦では、リバースジェネテックスの技術を用いて作製されたA/H5N1ウイルスワクチン株を、孵化鶏卵で増殖させてワクチンを製造している(プレパンデミックワクチン)。

日本で開発されたプレパンデミックワクチンは、インフルエンザウイルス全粒子をホルマリンにより不活化後精製した全粒子ワクチンで、免疫の初期化を高めるために水酸化アルミニウムをアジュバントとして加えている。まず、クレード1に属するベトナム株を用いた接種試験(3週ごとに2回接種、2回接種3週後に抗体測定用の血清を採取)が行われ、中和抗体価40倍以上の上昇を70%以上の接種者に認めている2, 3, 4)。なお、多くの接種者で注射部位の疼痛、発赤、硬結などの局所反応を認めているが、著明な全身反応は認められていない。また、皮下注射のほうが筋肉注射よりも局所反応の頻度が高率である。

ベトナム株接種により免疫の初期化が認められたが、この株は孵化鶏卵での増殖が悪いため、孵化鶏卵での増殖がよく、しかもクレードが異なる2株(インドネシア株:クレード 2.1、安徽株:クレード 2.3)を用いたプレパンデミックワクチンが製造されている。現在のプレパンデミックワクチンの研究では、(1) 各株を健康成人それぞれ3,000人に接種し、95%の統計学的有意でみつかる0.1%の副反応を確認する試験(安全性試験)、(2) 200人を対象としたインドネシア株および安徽株接種による免疫初期化効果、持続性、および交叉免疫性を調べる試験、(3)ベトナム株接種により免疫が初期化された 200人を対象にインドネシア株または安徽株を接種し、免疫ブースター効果、交叉免疫性を調べる試験、の3種類が計画されている。なお、交叉免疫性とは、一つの株の接種で誘導した免疫が、クレードの異なる他の株に対しても中和活性を示すことである。

今後の新型インフルエンザ対策におけるワクチンの位置づけを考える上で大事なのは、追加接種によるブースター効果の証明と交叉免疫性の証明である。追加接種した株が初回接種した株と異なっていてもブースター効果が認められるならば、クレードにかかわらず、孵化鶏卵での増殖効率がよいA/H5N1ウイルス株で作製されたワクチンで免疫を初期化しておき、パンデミック時に1回追加接種することで、より高い免疫力の誘導が期待できる。また、交叉免疫性が証明されたならば、プレパンデミックワクチンで使用したA亜型と同じA亜型インフルエンザウイルスによるパンデミック発生時に、備蓄しているプレパンデミックワクチンを1回接種することにより、パンデミックウイルスに対しても効果的な免疫を誘導させることができ、流行の抑制が期待できる。

プレパンデミックワクチン接種時の問題点として指摘されているのは、(1)季節性インフルエンザワクチンにおいて 100万分の1でおこるギラン・バレー症候群が、プレパンデミックワクチンでも起こるか、またその頻度はより高率か、(2)パンデミックが始まるとパンデミックウイルスは季節性インフルエンザウイルスと同様に変異するか、の2点である。

1976年米国で行ったスワインインフルエンザウイルスワクチンでは、ギラン・バレー症候群の頻度は高かったが、その後同じ製法で製造されている季節性インフルエンザワクチンのギラン・バレー症候群の発生頻度は100万分の1と、特に高くないこと、水酸化アルミニウムをアジュバントとして用いているDPTワクチンでは局所反応の頻度は高いものの、重篤な全身反応の頻度が極めて低いことなどから、プレパンデミックワクチンによりギラン・バレー症候群の特別な増加はないと予測されるが、300万人規模で接種しないと証明は不可能である。

季節性インフルエンザウイルスの変異は、中和抗体と結合するエピトープ(部位)で起こっており、この変異をおこす圧力は人が保有する抗体である。即ち、多くの人がそのインフルエンザウイルスに対して高い抗体価を持つと、中和エピトープが変異したインフルエンザウイルスが選択され流行する。一方、新たに出現するパンデミックウイルスは、免疫学的にバージンな集団に感染するため、多くの人が高い免疫力を持つまでは、中和エピトープが変異した株が流行しない。スペイン風邪出現時の流行の波から考えると、1回の流行で25%の人が感染するので、少なくとも75%の人が感染する3年間は抗体のプレッシャーがないため、中和エピトープは変異しないと予測される。このことから、プレパンデミックワクチンでブーストされた免疫により、3年間の感染防御が期待される

最後に、現在本邦が備蓄しているのはA/H5N1亜型に対するプレパンデミックワクチンであり、A/H5N1以外の亜型がパンデミックを起こすと効果は期待できない。しかし、水酸化アルミニウムをアジュバントとする全粒子インフルエンザワクチン(新型インフルエンザワクチン)は、ベトナム株の試験で免疫を初期化できることが示されている。A/H5N1以外のパンデミックを起こした亜型のパンデミックウイルス株を用いて、急いでプレパンデミックワクチンと同じ組成のパンデミックワクチンを作製し、そのワクチンを接種すれば免疫の初期化が期待できる。また今回の試験でブースター効果が証明されれば、免疫が初期化された人にパンデミックワクチンを追加接種することで免疫の賦活も期待でき、ひいては社会レベルでの流行抑制も期待される。なお、現在アジュバントを加える全粒子ワクチンで、日本での製造が承認されているのはA/H5N1亜型のみである。


[ 2009/01/15 00:00 ] ワクチン・タミフル | TB(0) | CM(0)

岡田晴恵氏新型インフルエンザ2008年10月22日資料 

財団法人 東京都予防医学協会のホームページに

2008年10月22日に行われた国立感染症研究所所属の作家、岡田晴恵氏による「新型インフルエンザ-事業所における具体的対策」に関する講演資料がアップロードされていますので、メモとして紹介しておきます。

http://www.yobouigaku-tokyo.or.jp/news/images/081028_okada.pdf

この資料においては、ワクチンの安全性が強調されている以外は普通です。

[ 2009/01/14 00:00 ] 木村盛世等 | TB(0) | CM(0)

人口の約26%を管轄しているに過ぎない神奈川県保健所 

 新型インフルエンザに的確に対応しようと、神奈川県は、行動計画を改定した。05年12月に策定した計画でわかりにくいとの指摘が多かった専門用語の表記をやめた。県民に内容を実感してもらう表現に努め、県内市町村との連携を密にして全県的な「危機管理態勢の構築」に力点を置いた。在日米軍との連携も新たに打ち出した。(岩堀滋)

 従来の行動計画では、発生後の感染予防と「封じ込め」が主な内容だった。厚生労働省が07年10月に改定した行動計画では、東南アジアで鳥インフルエンザに人が感染して死者が相次いだことなどを踏まえ、少なくとも海外で新型インフルエンザが発生した後の対応を重視。県の改定もこれに準拠した。

 具体的には、海外で発生後なるべく早期に知事を本部長とする「県危機管理対策本部」を立ち上げるとともに、患者の早期発見を目的に発熱相談センターを設置する。国内で発生した後は、県内でも多数の患者が医療機関に入院することが予想されるため、新型インフルエンザ患者とそれ以外の患者とを分ける発熱外来を置くなどの内容だ。

 国の行動計画では世界保健機関(WHO)の定義に基づく流行区分として「フェーズ」という専門用語が使われるが、県の行動計画は「海外発生早期」「国内感染拡大期」「国内流行期」などと具体的な表現にした。

 同様の行動計画は政令指定都市の横浜市などにもあり、県の行動計画との連携が課題とされていた。県保健福祉部は「整合性をとるために、情報交換を密接にしたい」としている。県は今後、市町村単位での訓練などにも力を入れる方針だ。

 県内には米軍施設が多く、不特定多数が出入りすることから、在日米軍と定期的に情報交換を行うことも新たに盛り込まれた。

 米国疾病管理センターの推計を県に当てはめた場合、医療機関を受診する患者は約118万人で、入院患者は約2万9千人、死者の数は約6800人とされる。

 県は「行動計画に伴い、きめ細かくわかりやすい情報提供を心がけ、被害を最小限に食い止めたい」としている。
(2009年1月5日 asahi.comより引用・一部改編)


 神奈川県は感染症対策上とても特殊な県です。というのも、横浜市、川崎市という2か所の政令指定都市を抱え、さらに相模原市、横須賀市、藤沢市は保健所を独自に持っています。神奈川県保健所はこの5つの市(人口合計約658万人)以外の感染症対策を担当しているので、県の人口(約896万人)の約26%を管轄しているに過ぎないのです。

 特に横浜市は人口約360万人を抱え、日本一のマンモス都市です。神奈川県保健所と横浜市保健所の横の連携は非常に大切です。

[ 2009/01/13 00:00 ] 行政の会議・計画 | TB(0) | CM(0)

新型インフル想定し合同対応訓練 横手市、連携を確認 

 大流行すれば国内でも相当数の死者が出る恐れがある「新型インフルエンザ」の発生に備え、横手保健所は2008年2月25日、関係機関と合同で対応訓練を実施した。同保健所や病院、消防などから約30人が参加。初動を担う職員の対応や感染症指定病院との連携などを確認した。

 訓練では、海外で小規模の感染が確認され、国内では発生していない状態の「フェーズ4A」を想定。感染流行地域の海外出張から戻った横手市内の男性が発熱と肺炎の症状を呈したため市内の診療所を受診し、新型インフルエンザ感染の疑いが強いと判断された—とのシナリオで行われた。

 訓練後の意見交換では、搬送自体は順調に進んだと評価する一方、「聞き取り調査の項目が多く、時間をかけるとほかの患者に感染する恐れもある」「検体を入れる容器が小さく、破損する可能性がある」など細かい指摘が出されていた。
(2008年2月26日 秋田魁新報より引用・一部改編)


 2008年当初は、このように日本各地でWHOフェーズ4Bの訓練が盛んにおこなわれていました。。2008年にフェーズ4Bの訓練をしていることは許される範囲なのかもしれません。しかし、2009年にフェーズ6Bになったらどうするかを訓練しない自治体は、危機感を抱くべきです。

[ 2009/01/12 00:00 ] 訓練フェーズ4B | TB(0) | CM(0)

2009年2月14日(土)中国赴任の新型インフルエンザ対策等講演 

第6回海外勤務者健康管理研修会のお知らせ

産業医の3単位がもらえる研修会が開催されます。
http://www.sigma-k4.jp/kenshu/index.html

新型インフルエンザ・ウォッチング日記 の管理人さんが講演されるようですので、奮ってご参加下さい。

主催 海外勤務者健康管理全国協議会
共催 日本産業衛生学会関東産業医部会
東京産業保健推進センター
日時 2009年2月14日(土) 13時半~16時半
場所 大手町サンスカイルームE室
〒101-8328 東京都千代田区大手町2-6-1 朝日生命大手町ビル24階
TEL:03-3270-3266
→地図はこちら
対象 産業医、産業看護職、産業保健実務担当者
内容 1. 基調講演(13時半~14時半)
「中国赴任の新型インフルエンザ対策」
演者:勝田吉彰 (近畿医療福祉大学教授)
座長:三好裕司(明治安田生命健保組合東京診療所長)
2. シンポジウム(14時半~16時半)
「東アジア、東南アジアにおける海外勤務者の健康管理 -特に新型インフルエンザ等感染症への対応」
(シンポジスト)
・古閑比斗志 (横浜検疫所 医師)
・金川修造 (国立国際医療センター渡航者健康管理室長)
・彌冨美奈子((株)SUMCO伊万里事業所統括産業医)
(座長)
・福本正勝 ((財)航空医学研究センター検査・証明部長)
・久保田昌詞(大阪労災病院勤労者予防医療センター部長)
募集人数 150名
参加費 3,000円(当日徴収)
カリキュラム
(申請中)
日医認定産業医生涯研修(専門研修) 3単位 (申請中)
産業看護実力アップコース III-1-(3) 1単位、IV-3-(1) 1単位 計2単位
申込方法 「第6回研修会参加希望」と明記し、
1.氏名(ふりがな)
2.産業医は認定証番号
3.所属先の名称、住所、TELおよびFAX番号
4.e-mailアドレス
をお書き添えの上、下記までFAXまたはe-mailでお申し込みください。
海外勤務者健康管理全国協議会事務局 久保田昌詞宛
FAX:072-252-1360 e-mail:info@sigma-k4.jp
受付期間 08年12月1日~09年1月30日午後0時
12月1日以前のお申込みは受け付けませんのでご了承ください。受講の可否はFAXまたはe-mailで2月10日までにご連絡します。
お問合せ e-mailもしくは
TEL:072-252-3561まで
(事務局のある大阪労災病院の代表番号、代表がでましたら久保田をお呼びください)


[ 2009/01/11 00:00 ] 講演・セミナー | TB(0) | CM(0)

神戸大学感染症内科からの新型インフルエンザガイドライン・パブコメ 

神戸大学医学部附属病院感染症内科の岩田健太郎先生のグループが提出した新型インフルエンザガイドライン・パブリックコメントが以下のブログで公開されています。

http://georgebest1969.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-8f6e.html

 全体の構成について
・まず、新型インフルエンザの定義、概要を整理して明示すべきだと思います。新型インフルエンザとは何か、H5N1だけを指しているのか、それ以外の血清型(H7N7など)はどう認識し、対応するのか。新型インフルエンザとしては、季節性インフルエンザの変異や予想はずれの型であることによるminor changeしたウイルス株が大流行するような場合も含まれているのか、こういう点も整理して、ガイドラインに盛り込むことが肝要と考えます。諸外国ではpandemic fluと認識されているのに、なぜ日本だけが「新型インフルエンザ」なのか。想定される社会的、医学的、経済的インパクトはどのくらいなのか。ガイドラインの遵守によってそのインパクトがどのくらい軽減され、何がもたらされることを厚生労働省や国は目標にしているのか(ゴールの設定)、「はじめに」で明確にまとめていないので、何を議論したいのかが分かりづらいです。
・次のガイドライン(改定版)はいつ発行される予定なのか、明示すべきです。
・今回募集したパブコメがどのくらい集まったのか。それがどう処理されたのか、明示してください。そして、次に出されるガイドライン(改定版)では、どのようなパブコメがどこに反映されたのか、これも明示してください。
・ ガイドライン作成方法を明示してください。だれがどのようにして何を決めたのか、全く不明確です。データはどこからどのように入手したのか、どのように議論して作成されたのか。最近の諸外国のガイドラインではすべてそういった情報が明示されているのが常識です。
・ガイドラインなので、最低限、引用文献リスト(参考資料ではなく、根拠となるデータのソース)はつけていただきたい。存在しない疾患の治療については、推奨のエビデンスレベルはなかなかないでしょうが、せめて推奨度はつけるべきです。
・執筆者の名前は明示するのが常識。これはガイドラインの基本中の基本なのでぜひ治していただきたい。
(以下省略…続きは
http://georgebest1969.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-8f6e.html
参照)

 岩田健太郎氏のプロフィールは

神戸大学都市安全研究センター 医療リスクマネジメント分野
神戸大学大学院医学研究科 微生物感染症学講座感染治療学分野

 1997年島根医科大学卒業、沖縄県立中部病院研修医。1998年ニューヨーク市コロンビア大学セントルークス・ルーズベルト病院内科研修医。2001年米国内科専門医、ニューヨーク市アルベルト・アインシュタイン医科大学ベス・イスラエル病院感染症フェロー。2003年中国北京SOSクリニック家庭医、米国感染症専門医。ロンドン大学熱帯医学衛生学校感染症修士。PHPビジネスコーチ。2004年亀田総合病院総合診療部感染症内科部長代理、2005年同院総合診療科総合診療・感染症科部長。2008年より現職です。

以下のように、感染症の著書を数多く手がけています。











 日本中からこのようなパブコメが提出されていることでしょう。しかし、2008年12月30日17時にパブコメを締め切り、約2週間後の2009年1月15日には全国から担当者を東京に呼び寄せ、ガイドラインについての説明会を行う予定なのです。時間的な制約を考えると、せっかく提出されたこれらの意見が反映されるとはとても考えられません。
 国がどの程度パブコメを反映したガイドラインを提示してくるのか興味深いです。  

[ 2009/01/10 00:00 ] 使えるマニュアル・HP | TB(0) | CM(1)

中津川市で1/10(土)サージカルマスク無料配布 

新型インフルエンザ対策周知・啓発用サージカルマスクを配布します

  昨年12月に策定した「中津川市新型インフルエンザ対策行動計画」に基づき、市民への新型インフルエンザの知識の普及と予防対策の啓発を行うため、サージカルマスクを配布します。

■日時:
 平成21年1月10日(土) 午前10時と11時(2回)

■場所:
 ふるさとにぎわい広場周辺

■内容:
 新型インフルエンザ対策周知・啓発用サージカルマスクを、午前10時から500枚と11時から500枚、合わせて1,000枚を配布し、啓発活動を行います。

■主催:
 中津川市新型インフルエンザ予防対策本部

■啓発内容
 配布するサージカルマスク入りの袋に下記の事柄について説明が書いてあります。
  ◇新型インフルエンザの発生が恐れられている理由
  ◇サージカルマスクについて
  ◇家庭でできる、新型インフルエンザ対策
    ・マスク、手洗い、うがいが予防の基本
    ・マスクの備蓄枚数のめやす
    ・流行に備え、生活必需品の備蓄例
    ・正しい情報の入手について

■サージカルマスクとは
 医療用マスクと同様の不織布(繊維を化学的に結合させたもの)製のマスクを一般的に“サージカルマスク”といいます。
 サージカルマスクは、装着者の咳やくしゃみなどの飛沫の飛散を防ぐ目的のもので、ウィルスを含んだ飛沫の吸引を完全に防ぐことはできませんが、マスクの着用によって、手などに付着したウィルスが直接鼻や口に触れることを防ぐ効果が期待できます。

■報道発表資料はこちら(PDF)
 新型インフルエンザ対策周知・啓発用サージカルマスクを配布します

■お問い合わせ先
 健康福祉部 健康医療課
 電話:0573-66-1111(内線620)

(2009年1月8日 中津川市報道発表より引用)


 お近くにお住まいの方は、いかがでしょうか。

[ 2009/01/09 00:00 ] 地域情報 | TB(0) | CM(0)

公衆衛生学的なワクチン接種の有用性を考えよう 

 昨春以降、学内で15人のはしか患者が出た神戸大が、流行時に免疫のない学生全員を登校禁止にする措置を決めたところ、チェック方法や教育を受ける権利の観点から異論が出され、開始できない状態が続いている。大学側は「議論を重ねて法的問題をクリアした」として近く実施の予定だが、「予防接種は任意なのに、これでは『強制』に近い」との批判も出ている。

 同大学では昨年4人、今年も11人のはしか患者が出た。このため、免疫の有無を調べる抗体検査を強く勧め、予防接種を今年4月から大学で全額負担している。

 それでも検査を受ける学生の割合が低迷したことから、10月以降にはしかが流行した場合、抗体検査で発症防止に十分な数値に満たないか予防接種を受けていない学部生、大学院生ら全員を登校禁止にする措置を決定。抗体保有者には学生証に「登録シール」をはってもらい、シールのない学生は学内への立ち入りを禁止する方針を決めた。

 これに対し、法学部教員や大学の顧問弁護士が「様々な場所で提示する学生証に身体情報を添付するのは問題」と指摘。アレルギー体質などで予防接種を受けない学生にも教育を受ける権利は保障すべきだ、との問題提起があった。このため10月からのシール配布を中止し、カードに変更。登校できない学生には補講を行う方針を立て、今月中旬からの実施を目指している。

 学校保健法による登校禁止措置は、発症者を対象にするのが一般的で、未発症者への適用は極めて異例。馬場久光・神戸大保健管理センター所長は「休講で多くの学生の教育を受ける権利を損なわないためにも対策が必要」と話す。予防接種を無料化した東京大は「粘り強く接種を呼びかけた結果、十分に接種率を上げられた。本来は学生に自主的に取り組んでもらうのが筋ではないか」という。市民団体「ワクチントーク全国」の青野典子さんは、「予防接種は健康被害のリスクもあり、強制から自己判断に委ねるようになった歴史があるのに、それに逆行するかのような措置をとるとは驚く」と指摘する。
(2008年12月2日 読売新聞より引用)
 新型インフルエンザ対策を考える上で、公衆衛生学的なワクチン接種の有用性を国民が理解し、少数の未接種者が他人に与える健康被害まで考慮する必要があります。ワクチンの公衆衛生学的な有用性が認められている麻しん対策に対して、日本のワクチン行政を後手後手にしたMMRワクチン薬害訴訟を支持している市民団体「ワクチントーク全国」の意見で記事を締めくくっていることに嫌悪感を抱きます。

[ 2009/01/08 00:00 ] 学校・保育園・幼稚園 | TB(0) | CM(1)

新型インフルエンザ患者搬送にアイソレータの使用は不要 

消防救191号 平成20年9月16日

「消防機関における新型インフルエンザ対策検討委員会報告書(中間とりまとめ)」について

この中で、消防組織法(昭和22年法律第226号)第37号の規定に基づく技術的助言として
「新型インフルエンザ患者搬送にアイソレータの使用は不要」と記載があります。なお、靴カバーの使用も不要です。

患者搬送にアイソレータを使用予定の自治体、そのような訓練を予定している自治体はただちに改めましょう。

「消防機関における新型インフルエンザ対策検討委員会報告書(中間とりまとめ)」について
22ページ~より一部引用

(3)救急隊の対応のポイント

(119番通報受信時)
○ 119番通報受信時は、海外渡航歴の有無、発熱・咳・のどの痛み等のイン フルエンザ様症状の有無、救急現場の汚染状況(嘔吐の有無等)を可能な範囲 で聴取する。
○ 新型インフルエンザ感染か否かの診断をできるものではないことから、強制 できるものではないが、発熱相談センター等適切な窓口が設置されている場合 には、新型インフルエンザ感染の疑いがある通報者に対し、当該窓口に連絡す るよう促す。

(搬送先の決定)
○ 各フェーズに応じて、新型インフルエンザの感染患者に対応する医療機関等 を都道府県等の衛生主管部局が設定することとなっている。そのため、新型イ ンフルエンザの感染が疑われた場合、どの医療機関に搬送すべきかについては、 衛生主幹部局と調整しておく。
※ 初期の段階での対応としては、救急隊が現場出場している間に、衛生主管 部局で医療機関を選定するといった連携体制を、事前に構築しておくことも 考えられる。

(救急搬送の実施)
○ 患者へは基本的にサージカルマスクを着用させる(気管挿管されている場合 等を除く)
○ 患者家族は同乗させない。
○ 救急搬送中は、換気扇の使用や窓を開放するなどにより、換気を良好にする ように努める。
○ 搬送中は周囲の環境を汚染しないように配慮し、特に汚れやすい手袋に関し ては汚染したらすぐに交換する。手袋交換の際は手指消毒を行なう。
○ 搬送する患者が、新型インフルエンザに感染している疑いがある患者である ことを搬送先の医療機関にあらかじめ告げ、必要な感染対策を患者到着の前に とれるようにする。
○ 搬送する段階で、新型インフルエンザ感染を全く疑わずに搬送を終了し、の ちに患者が新型インフルエンザであると判明した場合は、速やかに保健所等に 連絡し、「積極的疫学調査ガイドライン」に従った搬送従事者(場合によって は、濃厚接触者である家族、消防署の職員を含む。)の健康観察等、対応を求 める。

(資器材等の廃棄)
○ 使用した防護具の処理を適切に行なう。特に脱いだマスク、手袋、ガウン等 は汚染面を内側にして、他へ触れないよう注意しながら対処し、感染性廃棄物 として処理する。

(救急車)
○ 救急車内の対応として、以下いずれかの対応が考えられる。
・ 運転席の部分と、患者収容部分を仕切る。仕切りがない場合には、ビニル などの非透水性の資材を用い、一時的にカーテン状に囲い運転席側への病原 体の拡散を防ぐ。
・ 特に仕切ることなく、運転席も含め、換気扇の使用や窓を開放するなどに より、換気を良好にする。
○ 消毒等行う前に、まず、十分に救急車を開け放し、換気をよくする。可能で あれば、患者を降ろした後、ドアを閉めてしまうことなく、十分な換気を図る。
○ 患者搬送後の消毒については、可能であればストレッチャーを外に出し、車 内スペースを広くし、目に見える汚染に対して次亜塩素酸ナトリウム水溶液ま たはアルコールにより清拭・消毒する。ただし、手が頻繁に触れる部位につい ては、目に見える汚染がなくても清拭・消毒を実施する。
なお、患者搬送後の消毒は、患者搬送時に使った感染防護具を外し、手洗い 又は手指消毒を行ったあと、改めてサージカルマスクや手袋等の感染防護具を 着用して行うことが望ましい。

(アイソレータの使用)
○ アイソレータの使用は不要である。


(靴カバーの使用)
○ 転倒リスクの他に、使用した靴カバーを外す際に、手指が汚染されるリス クが懸念されることから、靴カバーの使用は不要である。(これまでに通常の インフルエンザが靴から感染したという報告はない)。

関連項目
「消防機関における新型インフルエンザ対策検討会」の発足

患者搬送方法が正常化-ラッサ車は不要-

未知の感染症患者転院搬送依頼の場合の対応


[ 2009/01/07 00:00 ] 移送・搬送・隔離 | TB(0) | CM(0)

大日康史氏の感染症拡大シミュレーション 

 高病原性鳥インフルエンザ(新型インフルエンザ)について国立感染症研究所は2008年2月28日までに、沖縄本島南部で1人目の感染者が発生した場合、11日目には3218人に感染し、高熱などの有症者は2759人に上ると想定していることが分かった。感染者発生後に爆発的な勢いで広がるため、自治体や保健所、医療機関での入念な対策が急務となっている。2008年2月27日に那覇市医師会館で開かれた新型インフルエンザについての講演会で同研究所の大日康史主任研究官が明らかにした。

 大日研究官は新型インフルエンザ感染者の約半数が3―6日の間に発症することを踏まえ、県内で人口が集中する本島中南部の感染拡大の想定を発表。感染者数は1人目の発見から3日目で8人に増えるが、その時点で有症者は最初の1人だけで、1週間後には感染者492人、有症者168人に拡大。11日目には感染者3218人、有症者2759人に上ると説明した。

 その上で感染者が出た場合、拡大防止には「外出自粛が非常に効果的」と強調した。
(2008年2月29日 琉球新報より引用・一部改編)

 大日康史氏は国立感染症研究所に所属し、国立感染症研究所感染症情報センター主任研究官ですが、東京工業大学創発システム講座 マルチエージエントシステム分野(連携大学院講座)連携教授という肩書を有しており、マクロ経済学の専門家です。以下のように、経済学の著書を数多く手がけています。





 数理モデルで新型インフルエンザ感染症の拡大シミュレーションは、国内では大日康史氏以外に研究するものがほとんどいないため、彼の独壇場となっています。その弊害として、彼の感染症拡大シミュレーションは、単なるモデルであるのに、彼の研究があたかも現実のようにマスコミに取り上げられ、たびたび取り上げられていることが挙げられます。

 彼の感染症の拡大シミュレーションは、どんな感染症の感染経路を前提にして行っているかを医学関係者が聞いたら度肝を抜かすと思います。彼の名誉のために今は控えておきますので、本人に聞く機会があったら是非聞くことをお勧めいたします。

[ 2009/01/06 00:00 ] 木村盛世等 | TB(0) | CM(0)

鳥インフルエンザ(H9N2)の場合、日本では隔離されず 

 2008年12月末に中国南部深川在住の2歳女児がインフルエンザとなり、香港の病院に入院。ヒト感染例のH9N2症例と報告されたのはみなさんご存じでしょう。

http://www.cidrap.umn.edu/cidrap/content/influenza/avianflu/news/dec3008influenza.html

 H9N2の人への感染例は過去10年に4例報告されています。

 女児の状態は安定しているものの、隔離対応となっています。

 さて、日本で鳥インフルエンザ(H9N2)と確定診断された場合、その患者は隔離対応となるでしょうか?

 答えはNo、一般入院対応です。

 なぜなら、日本では鳥インフルエンザはH5N1のみ隔離可能な二類感染症であり、それ以外 (たとえばH7N7、H9N2)の鳥インフルエンザは隔離どころか就業制限すらできない四類感染症なのです。

 これは、厚生労働省がH5N1以外の鳥インフルエンザは隔離する必要がないとお墨付きを与えた法案を提出し、それに対して国会が法案を認めたということです。日本国は鳥インフルエンザ(H9N2)の患者があちこち出歩いても(実際にはそんな元気はないが)構わないと認識しているということです。

 もちろん、そのH9N2インフルエンザウイルスがパンデミックの可能性を持つウイルスと判明すれば、その時点で「新型インフルエンザ等感染症」に指定されるため、隔離対応可能ですが、初期対応としては手遅れです。

 なぜ鳥インフルエンザを隔離可能な二類感染症と不可能な四類感染症にウイルス亜型で分けたのかは私にはわかりません。

[ 2009/01/05 00:00 ] 移送・搬送・隔離 | TB(0) | CM(0)

新型インフルエンザとは何ですか 

I-1 新型インフルエンザとは何ですか。

ダウンAnswer
 新型インフルエンザウイルスとは、動物、特に鳥類のインフルエンザウイルスが人に感染し、人の体内で増えることができるように変化し、人から人へと効率よく感染できるようになったもので、このウイルスが感染して起こる疾患が新型インフルエンザです。
 新型インフルエンザウイルスはいつ出現するのか、誰にも予測することはできません。人間界にとっては未知のウイルスでほとんどのヒトは免疫を持っていませんので、これは容易に人から人へ感染して広がり、急速な世界的大流行(パンデミック)を起こす危険性があります。
 現時点で、こうした性質を持つ新型インフルエンザの発生は確認されていません。

 新型インフルエンザの英語訳は、Pandemic Influenza2008年9月19日に公開された新型インフルエンザガイドライン(フェーズ4以降)英語訳versionではなっています。New Influenzaではありません。

 新型インフルエンザと鳥インフルエンザは別の疾患概念です。英語訳すればその違いにすぐ気がつきます。

 新型インフルエンザ=Pandemic Influenza
 鳥インフルエンザ=Avian Influenza(Avian Flu)

 Pandemic Influenzaは「状態」を表すのに対し、Avian Fluは「疾患」そのものを表します。

だから、
「新型インフルエンザとは、~~」という説明が必要になってしまうのです。
パンデミックインフルエンザという訳にしておけば、
「パンデミックとは、~~」という説明だけで済んだのです。

日本で最初にPandemic Influenzaの英語訳を新型インフルエンザにしてしまった人の罪は重いと思います。

 
[ 2009/01/04 00:00 ] Q&A | TB(0) | CM(1)

年末年始の新型インフルエンザ報告体制 

 今年の年末年始、国および地方自治体は9連休となっています。

 さて、もしこの年末年始9連休の間に新型インフルエンザが国内で突然蔓延したら、職員はどう対応するのでしょうか。

 一般的に、各保健所ごとに、保健所長または課長級などの担当者をそれぞれ決めておき、万が一の際はそこに連絡があるようになっています。

 自治体によっては管理職ではなく、実務担当者を当番にしている所も存在しますが、危機管理上問題があると私は考えます。管理職は大変ですが、第一報の遅れがすべての遅れの始まりのことも往々にしてありますので、初期対応は重要です。

 あなたの会社、自治体の、この年末年始9連休の間の初期対応者は誰だか知っていますか?

[ 2009/01/03 00:00 ] その他 | TB(0) | CM(0)

「新型インフルエンザ患者たらい回し」記事の未来予想図 

 年末年始は日本の医療提供体制が最も手薄な時期です。しかし感染症は時間と場所を問わず突然襲い掛かります。東京都の産婦が脳出血により亡くなってしまった事件のニュースをもとに、未来予想図の記事を書いてみました。作品の出来はかなり悪いです。
【20xx年xx月xx日】

 ○○県は、新型インフルエンザ患者の「たらい回し」をなくすため、病院間で受け入れ先を探す新たな医療体制「○○県ルール」を来年度から始める。

 県内の複数の病院を「新型インフルエンザ入院病院」に指定し、患者を受け入れられる病院を見つける。患者の受け入れで、病院同士で連絡を取り合って決める試みは全国初。県は「新型インフルエンザ患者受け入れの新たなモデルになる」と期待している。

中核病院が搬送先探し

 新型インフルエンザ患者は消防庁の救急隊が病院に照会し、搬送先を決めている。

 県の担当部署によると、○○県ルールは、県内を複数の地域に分け、入院が必要な重症患者を扱う病院の中から、1地域で2か所をセンターに指定。救急隊の受け入れ先探しが難航した場合、センターが救急隊に代わって患者を受け入れる病院を探したり、受け入れたりする。

 地域のほかの病院は、センターに空きベッド、当直医の専門や人数などの情報を提供する。

 それでも受け入れ先が見つからないケースでは、県消防庁指令室の職員が務めるコーディネーターが、ほかの地域のセンターと調整する。

 県の担当部署は、「たらい回しを防ぐには、地域の病院が責任を持って新型インフルエンザ患者を受け入れるしかない」と話している。

 新型インフルエンザ患者の搬送を巡っては、病院が「ベッドは満床」「当直医が専門外」「新型インフルエンザ患者は受け入れられない」などと受け入れを拒否するケースが後を絶たず、12月に新型インフルエンザ疑い患者が8病院に断られて、結局死亡する問題も起きている。

 
[ 2009/01/02 00:00 ] 入院・病院 | TB(0) | CM(0)









上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。