鶴川サナトリウム病院での季節性インフルエンザ集団感染について、専門家、各種ブログで様々な議論が繰り広げられました。
今日もサーベイランスについて記します。
今回、株が何であるのかはいまだ公表されていません。しかし、マスコミで公表された事例に対して、いちいち株が何であるのかを調べることに、科学的根拠はありません。
その理由です。
1.日本全国で定点医療機関から搬入されたインフルエンザウイルスの解析が日頃から行われており、集団感染が起こったからといって、慌ててウイルス株を調べることに疫学的根拠がない。
2.仮に、株がブリスベン株だと判明したとしても、病院、社会福祉施設、一般国民がなすべき対策に変わりはない。
そもそも、マスコミが把握しているインフルエンザ集団感染は氷山の一角に過ぎず、そこで流行しているインフルエンザウイルス株も氷山の一角に過ぎないのです。バイアスがあまりにも大きくかかっており、そこから出る結果は全て色眼鏡を通したものとなってしまいます。
新型インフルエンザ対策でも同じことが言えます。
ウイルス株がH5ならばこうするけど、H7だからこうする、H9なら、ああするとか、なにかウイルス株の違いにより、対策が変わるのでしょうか?
私は変わらないと思います。臨床症状の違い、感染様式の違いによっては対策は変わります。
私は、保健所に勤務している(していた)人が、保健所で行っているサーベイランスの意味を理解していないという事実を淋しく感じています。おそらく、NESIDへの入力などしたことがないのかもしれません。何故毎週、定点医療機関から報告を受け、NESIDへその報告数を入力しているのかを理解していれば、こんなことにはならないはずです。
サーベイランスは、情報を収集することに意味があるのではなく、収集、分析、そして対策を考えて総合的に意味があるのです。何か事件が発生して、慌てて何かをするのは、冷静な対応ではありません。
1週間、新型インフルエンザ対策とは直接関係ない話をしましたが、少なくともこの程度のことは知っておかないと新型インフルエンザ対策は恥ずかしくてできないと思い、私の考えを書かせていただきました。明日からまた新型インフルエンザ対策の記事を書きたいと思います。