うがい効果あった…浜松医大助教ら調査
子ども発熱割合低く
「うがい」はやっぱり風邪に効く?――。毎日うがいをする子どもは、うがいをしない
子どもより、風邪などの発熱性疾患にかかりにくかったという調査結果を、静岡県の浜松
医科大の野田龍也助教(公衆衛生学)らがまとめた。
うがいは日本特有の習慣とされ、風邪などの予防効果を疑問視する研究者も多いが、野
田助教は「うがいには副作用もなく、安心して推奨できる」と話している。
野田助教によると、うがいは日本では平安時代から行われている習慣だが、欧米では「
下品」な行為とみられ、ほとんど行われていない。さらに、研究者の間では、風邪などの
原因となるウイルスは短時間で細胞の中に取り込まれてしまうため水では洗い流せず、う
がいは予防にならないとする意見が多いという。
野田助教は、こうした研究者の見解に反して、国内でうがいが推奨され続けていること
を不思議に思い、調査を実施した。
調査は、2006年1〜2月の20日間、福岡市の保育所145か所で、2〜6歳の子
ども1万9595人を対象に行った。保育所で1日1回以上、水道水や緑茶などでうがい
を行ったグループと、行っていないグループに分け、37・5度以上の発熱をした子ども
の割合に差があるかどうかを調べた。
その結果、うがいをする子どもが発熱する割合は0・4%だったのに対し、うがいをし
ない子どもは1%が発熱していた。また、緑茶でうがいをした子どもが最も発熱しにくく
、食塩水、水道水の順に発熱者の割合が増えた。野田助教は「うがいで口中の環境が変わ
ることが影響しているのではないか」とみており、「緑茶うがいの効果が高いのは、(茶
に含まれる)カテキンの影響だろう」と指摘した。
(2012年1月23日読売新聞より引用・一部改編)
原著を読まないとはっきり分からないので、当ってみました。
Journal of Epidemiology Vol. 22 (2012) , No. 1 45-49
Gargling for Oral Hygiene and the Development of Fever in Childhood: A Population Study in Japan
Tatsuya Noda, Toshiyuki Ojima, Shinya Hayasaka, Chiyoe Murata and Akihito Hagihara
Abstractだけ訳してみます。
背景:発熱は子供たちの間で最も一般的な症状の一つであり、通常は呼吸器感染症によって引き起こされる。日本の保健当局は、長い間呼吸器感染症を防ぐために、うがいを推奨していたものの、子どもたちの間でその有効性は明らかではなかった。
方法:この観察研究では、福岡市にある145か所の保育園に在籍する子どもたちが登録された。暴露群の子どもたちは、少なくとも一日一回うがいをするように指示された。本研究のエンドポイントは、昼間の発熱の発生率及び病気の発生率であった。うがい液成分間の違いも分析した。
結果:2〜6歳の合計19,595人の子供を20日間観察した(391900人日)。多変量ロジスティック回帰分析では、うがい群の発熱での全体としてのオッズ比(OR)が(OR= 0.68)有意に低かった。年齢層別解析では、オッズ比は、2歳(OR= 0.67)、4歳(OR= 0.46)、および5歳(OR= 0.41)で有意に低かった。病気の有無においては、全体的としてのORは、うがい群で0.92(有意ではない)であった。年齢層別解析では、オッズ比は4歳(OR= 0.68)、5歳(OR= 0.59)、および6歳(OR= 0.63)で有意に低かった。サブグループの解析では、発熱発症でみると有意に低いオッズ比は、緑茶(OR= 0.32)、精製水(OR= 0.46)、水道水(OR= 0.70)でみられた。しかし、病気の有無ではオッズ比は、有意ではなかった。
結論:うがいは子供の発熱性疾患の予防に効果があるかもしれない。
OR= 0.68って、
かなり弱い関連性ですね。
偶然、バイアス、交絡などによる偽の関連に注意しなければならないでしょう。
そもそも論文には、
ネガティブデータだと発表されないという
バイアスが存在します。
この研究では有意差が出たので論文という形で世間に公開されましたが、もしかしたらこの陰には発表されない10,000回のうがいでは効果がない(有意差が出ない)データが存在するのかもしれません。