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![]() 厚生労働省:新型インフルエンザ対策関連情報 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html 食品営業関係者 学校給食従事者 保育園関係者検便の義務の根拠と検査項目食品営業関係者が検便を求められる根拠と考えられる通知などを探してみました。 →大量調理施設衛生管理マニュアルが根拠となっており、具体的には腸管出血性大腸菌とノロウイルスのみの記載があります。赤痢、サルモネラ群については具体的根拠は一切ありません。「腸管出血性大腸菌」と記載されているため、これに関してはO157、O26、O111の頻度の高い3種類の検査を実施している施設が多く、民間業者もこれに対応したキットを売り込んでいます。O157、O26、O111の3つについては簡易キットが販売されているため、コストも抑えられます。ノロウイルスについては、イムノクロマト法による簡易検査を実施しているところがほとんどですが、PCR法と比較して感度は100分の1程度悪いため、ノロウイルスの無症状病原体保有者を「陰性」と判断してしまい、結果として食中毒に至ってしまったケースもあるのが現状です。 2.学校給食従事者 ◯文部科学省告示第六十四号 学校給食衛生管理基準 学校給食法(昭和二十九年法律第百六十号)第九条第1項の規定に基づき、学校給食衛生管理基準を次のように定め、平成21年4月1日から施行する。平成21年3月31日文部科学大臣塩谷立 (3)学校給食従事者の健康管理 一学校給食従事者については、日常的な健康状態の点検を行うとともに、年1回健康診断を行うこと。また、当該健康診断を含め年3回定期に健康状態を把握することが望ましい。 二検便は、赤痢菌、サルモネラ属菌、腸管出血性大腸菌血清型O157その他必要な細菌等について、毎月2回以上実施すること。 →平成21年4月1日から施行されている文部科学省告示第六十四号の学校給食衛生管理基準が根拠となっているようで、おおもとの根拠法令は学校給食法ということになります。 3.水道従事者 ○水道法(昭和三十二年六月十五日法律第百七十七号) (健康診断)第21条 水道事業者は、水道の取水場、浄水場又は配水池において業務に従事している者及びこれらの施設の設置場所の構内に居住している者について、厚生労働省令の定めるところにより、定期及び臨時の健康診断を行わなければならない。 ○水道法施行規則 (健康診断) 第十六条 法第二十一条第一項 の規定により行う定期の健康診断は、おおむね六箇月ごとに、病原体がし尿に排せつされる感染症の患者(病原体の保有者を含む。)の有無に関して、行うものとする。 ○水道法の疑義応答について(昭和三三年九月二五日)(衛水第四四号) →昭和30年代の古い通知が根拠となっています。腸管出血性大腸菌は具体的に提示されていませんので、法的にはしなくてもいいことになります。 4.保育園関係者 ○児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 (昭和二十三年十二月二十九日厚生省令第六十三号) (入所した者及び職員の健康診断) 第十二条 児童福祉施設(児童厚生施設及び児童家庭支援センターを除く。第四項を除き、以下この条において同じ。)の長は、入所した者に対し、入所時の健康診断、少なくとも一年に二回の定期健康診断及び臨時の健康診断を、学校保健安全法(昭和三十三年法律第五十六号)に規定する健康診断に準じて行わなければならない。 ○社会福祉施設における衛生管理について(平成9年3月31日 社援施第65号通知) 今般、食品衛生調査会の意見具申を踏まえ、当省生活衛生局において「大量調理施設衛生管理マニュアル」ほかを作成したこと等について、別紙のとおり当省生活衛生局長から通知されたところである。 この「大量調理施設衛生管理マニュアル」は、同一メニューを1回300食以上又は1日750食以上を提供する調理施設に適用するものであるが、社会福祉施設における食中毒を予防するため、適用されない社会福祉施設についても、可能な限り本マニュアルに基づく衛生管理に努められるよう管下の社会福祉施設に対して周知願いたい。 なお、「社会福祉施設における衛生管理について(平成8年9月24日社援施第143号本職通知)は廃止する。 →保育園関係者においても、食品営業関係者と同様、大量調理施設衛生管理マニュアルが根拠となっていることが分かりました。 ○児童福祉施設における食事摂取基準を活用した食事計画について(平成22年3月30日 雇児母発0330第1号通知) 3 児童福祉施設における食事計画の実施上の留意点 (4) 食事の提供に係る業務が衛生的かつ安全に行われるよう、食事の提供に関係する職員の健康診断及び定期検便、食品の衛生的取扱い、消毒等保健衛生に万全を期し、食中毒や感染症の発生防止に努めること。 結論 ・O157を具体的に調べる必要があると通知で記載されているのは学校給食従事者のみである。 ・食品営業関係者、保育園関係者の検便の根拠は共に「大量調理施設衛生管理マニュアル」であり、そこには「腸管出血性大腸菌」と「ノロウイルス」だけが具体的に記載されているだけである。したがって、赤痢・サルモネラ群の検便を行う法的根拠はない。一方、腸管出血性大腸菌としてO157の検査だけ行うことは不十分であり、O26、O111の検査はもちろん、あらゆる腸管出血性大腸菌の検査を行う必要があるはずであるが実際には行われていないのが現状である。 これはいつか必ず事件が起こると思われる。具体的には赤痢、サルモネラ群、O157、ノロウイルスの検便は陰性であった調理従事者が、実はO26やO111、O104などの腸管出血性大腸菌の無症状病原体保有者で、手洗いが不十分で食中毒の原因となるのである! このように、検便は衛生管理において一定の歯止め効果はあるが、決して100%の安全を保障するものではないです。 食品従事者には日ごろの体調管理と、徹底的な手洗いを行ってほしいものです。 ポリオ不活化ワクチン導入に伴う補正予算
6月は地方自治体では第二回定例会、略して「二定」が行われています。
そこで多くの自治体では補正予算を計上していることと思われます。 そのほとんどは、ポリオ不活化ワクチン導入に伴う補正予算のはずです。 四日市市議会議員がブログでその内訳について報告していました。 http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11268168402.html 四日市市では、予防接種事業費は1億1,363万円です。 その内訳について、引用します。 「生ワクチン」は計2回の接種が必要で1回当り単価は410円でワクチン代は計820円になるのに対し、「不活化ワクチン」は計4回の接種が必要で1回当り単価は2,100円となりワクチン代は計8,400円となり、ワクチン代だけでも「不活化ワクチン」は「生ワクチン」の10倍以上のコストとなります。四日市市の人口は平成24年6月1日時点で約31万人ですから、人口1万人の自治体では、約370万円の予算が必要となります(実際には地域ごとに医師会との契約単価が異なります)。 ちなみに、大規模自治体と小規模自治体の例を挙げておきます。 札幌市(人口 約193万人)4億3,000万円 http://www.city.sapporo.jp/zaisei/kohyo/yosan-kessan/h24/documents/hosei24-2tei.pdf 米子市(人口 約15万人)478万円 http://www.city.yonago.lg.jp/secure/14000/2406himokugotosateijoukyouitirann.pdf スケールメリットがあるため、人口規模が小さいほど1人当たり単価は高くなってしまいます。 さて、この費用は日本全国で無料扱いとなっていますが、それは予防接種法で定められているわけではなく、各自治体の裁量で無料扱いとしているだけです。 したがって、このポリオ不活化ワクチン導入に伴う負担増に耐え切れない自治体が、接種対象者に接種費用を負担してもらう可能性もあるのです。 「国の制度なんだから国が接種費用を持て!」 という声もありますが、それは期待できません。 未来永劫、災害派遣医療チーム(DMAT)に運動指導者は含まれない
財団法人 健康・体力づくり事業財団が、平成23 年度 セーフティネット支援対策等事業費補助金社会福祉推進事業で「東日本大震災における被災地での運動・スポーツによる身体的・精神的支援および活用方策に関する調査研究事業」を公表しています。
http://www.health-net.or.jp/tyousa/houkoku/pdf/h23_shinsaihoukokusyo_1-2.pdf その中で、4つの提言をしているのですが、その1つに「災害派遣医療チーム(DMAT)に、運動指導者を含めておく」という項目がありました。DMATの目的・存在理由をまったく無視した提言であり、看過できないのでコメントします。 まず、全文を引用します。 災害発生当日から1週間程度は、まず生命の確保が最優先事項となる。エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)対策はその一つである。また、被災と避難行動という大きなストレスは生体リズムを攪乱し、その後の心身の健康を阻害する。今回の調査で、この時期にあっても、被災避難者自身による運動の開始や現地の指導者・ボランティアによる運動支援が行われ効果を挙げているケースが一部で見られたものの、実際には被災地域において運動指導を立案し態勢を組むのは難しい。発生から間をおかずに、自動的に運動支援が発動する(運動指導者が派遣される)ことを可能とする初動体制の構築が必要であろう。被災直後からの運動支援態勢を確保するために、エコノミークラス症候群対策等の運動支援を行うことで、被災者の健康を守りたいという趣旨は分かります。しかし、それから 「災害派遣医療チーム(DMAT)に、運動指導者を含めておく」と提言する結論に至ることは、DMATの存在理由を理解していないとしか考えられません。 DMATとは阪神・淡路大震災で救える命があったはずだという精神の基、「災害急性期に活動できる機動性を持った トレーニングを受けた医療チーム」として発足し、Disaster Medical Assistance Team の頭文字をとって略してDMAT(ディーマット)と呼ばれています。 医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職及び事務職員)で構成され、大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場に、急性期(おおむね48時間以内)に活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チームです。 活動は本来急性期(おおむね48時間以内)を想定しているのですが、東日本大震災では阪神・淡路大震災とは異なり、急性期の医療活動を必要とする被害者はほとんどなかったため、被災地に駆けつけたDMATはとまどい、本来の活動ができませんでした。そこでDMATとしてではなく、単なる「医療チーム」として急性期を超えた時期にあっても被災地での医療活動を続けたのです。 運動指導者はこの単なる「医療チーム」にはいてもいいかもしれません。でも、DMATには必要ありません。家屋などが倒壊し、救出された被災者の救急医療をすることこそがDMATの使命であり、救急医療がひと段落着いて、周辺の医療機関で医療を受けられる段階以降で運動指導者が力を発揮すべきだと思います。 未来永劫、「災害派遣医療チーム(DMAT)に、運動指導者は含まれない」ことは間違いないでしょう。 (補足) 健康・体力づくり事業財団は、厚生労働省の外郭団体であり、民主党の平成21年11月11日に行われた行政刷新会議ワーキングチーム「事業仕分け」の対象になっている組織です。 うがい効果あった…ほんまかいな?うがい効果あった…浜松医大助教ら調査 原著を読まないとはっきり分からないので、当ってみました。 Journal of Epidemiology Vol. 22 (2012) , No. 1 45-49 Gargling for Oral Hygiene and the Development of Fever in Childhood: A Population Study in Japan Tatsuya Noda, Toshiyuki Ojima, Shinya Hayasaka, Chiyoe Murata and Akihito Hagihara Abstractだけ訳してみます。 背景:発熱は子供たちの間で最も一般的な症状の一つであり、通常は呼吸器感染症によって引き起こされる。日本の保健当局は、長い間呼吸器感染症を防ぐために、うがいを推奨していたものの、子どもたちの間でその有効性は明らかではなかった。 方法:この観察研究では、福岡市にある145か所の保育園に在籍する子どもたちが登録された。暴露群の子どもたちは、少なくとも一日一回うがいをするように指示された。本研究のエンドポイントは、昼間の発熱の発生率及び病気の発生率であった。うがい液成分間の違いも分析した。 結果:2~6歳の合計19,595人の子供を20日間観察した(391900人日)。多変量ロジスティック回帰分析では、うがい群の発熱での全体としてのオッズ比(OR)が(OR= 0.68)有意に低かった。年齢層別解析では、オッズ比は、2歳(OR= 0.67)、4歳(OR= 0.46)、および5歳(OR= 0.41)で有意に低かった。病気の有無においては、全体的としてのORは、うがい群で0.92(有意ではない)であった。年齢層別解析では、オッズ比は4歳(OR= 0.68)、5歳(OR= 0.59)、および6歳(OR= 0.63)で有意に低かった。サブグループの解析では、発熱発症でみると有意に低いオッズ比は、緑茶(OR= 0.32)、精製水(OR= 0.46)、水道水(OR= 0.70)でみられた。しかし、病気の有無ではオッズ比は、有意ではなかった。 結論:うがいは子供の発熱性疾患の予防に効果があるかもしれない。 OR= 0.68って、かなり弱い関連性ですね。 偶然、バイアス、交絡などによる偽の関連に注意しなければならないでしょう。 そもそも論文には、ネガティブデータだと発表されないというバイアスが存在します。 この研究では有意差が出たので論文という形で世間に公開されましたが、もしかしたらこの陰には発表されない10,000回のうがいでは効果がない(有意差が出ない)データが存在するのかもしれません。 排便後の手洗いを徹底しても服やベルトに菌・ウイルスは付着する
感染性胃腸炎や腸管出血性大腸炎の接触感染防止策として、手洗いの徹底が重要なのは間違いないです。
しかし、排便から徹底的な手洗いに至るまでの過程を検証してみました。 1.排便終了 2.お尻をトイレットペーパーで拭く(この際、下痢便度が高い程、手に菌・ウイルスが付着する) 3.パンツを穿く(パンツに菌・ウイルスが付着する) 4.ズボン、スカートを穿く(ズボン、スカートに菌・ウイルスが付着する) 5.ベルトを締める(ベルトに菌・ウイルスが付着する) 6.個室のドアを開ける(ドアの取っ手に菌・ウイルスが付着する) 7.手洗い場まで歩き、手を洗う(センサー式でない場合は、つまみに菌・ウイルスが付着する) 8.徹底的な手洗いを行う このように、教科書通りに徹底的な手洗いを排便後に実施しても、パンツ、ズボン、スカート、ベルトに菌・ウイルスが付着してしまうのです! このズボン、スカート、ベルトから、更なる接触感染の可能性は残っています。 従って、この可能性を排除するためには、温水洗浄便座(ウォシュレット)式の便座の普及を図るしかないと思われます。 もしくは、排便後、お尻を拭いた後に携帯式アルコール手指消毒剤で手を洗った後にパンツをはく?(でもノロウイルスには無効) 「ウォシュレット症候群」という言葉もあるそうで。 100%の徹底は難しく、今後も感染性胃腸炎や腸管出血性大腸炎の集団感染事例は忘れたころに発生することでしょう…
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